小児矯正
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成長を利用した無理のない小児矯正治療をご提案いたします
近年では食生活の多様化などもあり、顎が正常に発達せず、歯の大きさと顎の大きさが合わないがために歯並びや咬み合わせに問題を抱えるお子様が増加傾向にあります。歯並びや咬み合わせは歯科の根幹であり、見た目だけの問題だけでなく、虫歯や歯周病をはじめ、顎関節症などのトラブルリスクを高めてしまうため、とても重要です。
いぬい歯科クリニックでは、お子様の成長を利用しながら、将来的な歯並びを良い方向へと誘導する小児矯正治療を実施しております。「お子様の歯並びを、どんな方法で治療すればいいのか分からない」、という保護者の方もいらっしゃることでしょう。
当院では、お子様の将来のためにも、お子様一人ひとりのお口をじっくりと見て適切な矯正治療を検討し、保護者の方にもしっかり説明させて頂いて治療を提供しておりますので、お子様の歯並び・咬み合わせ等でお悩みの際はお気軽にご相談ください。
こんな症状がある場合は不正咬合の可能性があります
不正咬合とは、歯並び・咬み合わせに問題がある状態のことです。下記のような症状がある場合は、不正咬合の可能性があります。気になる際は一度検査にお越しください。
- 鼻呼吸ではなく「口呼吸」をしていることが多い
- いつもお口がぽかんと開いている
- 鼻づまりやアレルギー
- いびきをかく
- 歯ぎしりをよくする
- 姿勢が悪く、猫背である など
大人の矯正と子供の矯正の違いとは?
子供の矯正は、大人の矯正治療と大きく異なります。大人になってから矯正するよりも、小児期に行う方が抜歯せずに矯正できる可能性が高まります。また、矯正後の後戻りも最小限に抑えられるなど、多くのメリットがあります。小児矯正は大きく一期治療と二期治療に分かれています。
一期治療
永久歯が生えそろう前、乳歯の時期に行う矯正です。6歳から小学校低学年を目安に行い、上下の顎の骨の大きさやバランスを整え、永久歯が生えるためのスペースを作ります。
二期治療
12歳前後を目安として、永久歯が生えそろった時期に行います。顎の成長が終わってから歯列を整える矯正治療です。(※大人の矯正と同じです)
顎の発育不足を改善することの重要性について
現代の子どもは食の多様化、軟食化などの影響によって咀嚼回数が減少したことにより、歯のサイズは大きく顎骨が小さいという傾向があります。小さな顎に歯が並ぶため、必然的に歯並びは悪くなってしまいます。無理なく歯が並ぶように顎骨発育を促し、適切なサイズに拡げてあげなければ、根本的な解決にはなりません。
また特に上顎の発育については、お子様のからだの健康のためには重要な問題です。上顎のスペースが狭いということは、鼻からの空気が通る鼻腔も同様に狭いということになり、下記のような様々な問題が生じる可能性が高くなります。
- 鼻腔が狭いため鼻で呼吸がしにくい ⇒ 口呼吸の原因に
- 口呼吸になることでホコリ、細菌、花粉などが直接気道に侵入し扁桃腺の腫れなどに
- アレルギー性鼻炎などの発症からぜんそくが起きる可能性も
- 扁桃腺の腫れによりさらに呼吸がしづらくなり、自然とあごを前に突き出すように口を開いて呼吸をするので、猫背の原因にも
小児矯正顎顔面矯正(床拡大矯正)について
顎顔面矯正とは、大人の矯正治療のように一つひとつの歯を動かして歯並びや咬み合わせを改善する方法ではなく、お子様の成長を利用しながら顎骨の発育を促したり、顎骨を拡げてあげることによって、永久歯が綺麗に並ぶように誘導する矯正法です。特に4歳位からの成長期のお子様に有効な矯正方法です。
当院では、将来的な歯並びや顎関節なども考慮しながら、床拡大装置を用いて顎骨を少しずつ拡げていきます。小児期にしっかりと顎骨を拡げてあげることにより、永久歯が生え揃ってから本格的な矯正治療(2期治療)が必要となった場合でも歯を抜くことなく歯並び・咬み合わせの改善が期待できます。
筋機能療法(MFT)と歯列矯正用咬合誘導装置(プレオルソ)
お口まわりの筋肉がしっかり働いていないと、歯並びや噛み合わせの悪い状態、いわゆる「不正咬合」の原因になることがあります。ひどい場合、お顔の形が変わってしまう可能性もあるため、歯並びに影響を与える筋肉に関係した癖(くせ)は放っておかないようにしましょう。
例えば「指しゃぶり」や「爪噛み」、「くちびる噛み」、「舌の癖」などがそれにあたります。中でも、一番多い指しゃぶりと舌の癖は、上下の歯の間に挟まる指や舌などが矯正力として働いてしまい、出っ歯(上顎前突)や上下の歯の間が開いた状態(開咬)になりかねません。
その結果、歯並びや顎の発育に影響を及ぼすことがあります。せっかく矯正治療で歯並びを整えても、お口まわりの筋肉がしっかり機能していないと、再び歯並びが崩れかねません。
当院では、矯正治療を成功させる大事なステップとして、歯列矯正用咬合誘導装置(プレオルソ)による歯並び・咬み合わせの改善、お口周りの筋肉を正常に機能させる「筋機能療法(MFT)」という訓練を行っています。この訓練を行うことで矯正治療の精度を上げることができ、矯正治療をスムーズに進めることができます。また、筋機能療法(MFT)をすることによって、矯正治療後に起こりがちな「後戻り」を防ぎ、何度も治療をする必要がありません。横顔が綺麗になる効果も期待できます。
歯列矯正用咬合誘導装置(プレオルソ)とは?
歯列矯正用咬合誘導装置(プレオルソ)とは、3歳位からの小児を対象とした取り外しができるマウスピース型の矯正装置です。
日中に1時間と就寝中に着用することによって、お口周りの筋肉を鍛えながら、様々な悪癖や舌の位置を改善し、歯並び・咬み合わせを良い方向へ導きます。※装置の装着は家にいる間だけですので、学校や幼稚園で見た目を気にすることもありません。
▼こちらは歯列矯正用咬合誘導装置(プレオルソ)の効果・使用法等が分かりやすくまとめられた動画です。
筋機能療法(MFT)とは?
筋機能療法(MFT)の目的は、健全な歯並びや噛み合わせ、骨格をつくり上げる環境を整え、それを維持することです。具体的には、お口まわりの筋肉のバランスを整え、正しく機能するための訓練を行います。
お口まわりの筋肉とは、「くちびる」「舌」「嚙む筋肉」「頬の筋肉」「喉の筋肉」など、食べたり飲んだり、話したりするときに使う筋肉のこと。正しい位置にしたがあり、筋肉の動きが正しければお口まわりの機能も正常になります。舌の動きやお口まわりの筋肉が正しい動きをするように習慣化させ、機能の安定化を図ります。
筋機能療法(MFT)の進め方
筋機能療法(MFT)の流れについてご紹介いたします。
診断
お口まわりの筋肉で、どの部分の機能が悪いかを診断します。当院で導入している、口唇閉鎖力測定器「りっぷるくん」によって検査を行います。安静時に口唇が開いている状態を「口唇閉鎖不全症」と言い、お口の機能が十分発達していない症状の一つ。「りっぷるくん」は従来のバネばかりと異なり、お子様へ計測時の負担がかかりません。また、口唇閉鎖力の測定誤差が少ない構造になっており、正確に診断することができます。
来院によるトレーニング
1ヶ月に1回程度来院していただき、筋機能療法のトレーニングを行います。歯科衛生士とともに「噛む」、「飲む」、「発音の仕方」のトレーニングをワークブックに沿って行います。最終的には、無意識の状態で普段から舌やくちびるが、本来あるべき正しい位置に定まるようにすることがゴール。これにより、歯並びを悪くする様々な癖を起こさないようにしていきます。
ご自宅でのトレーニング
お口まわりの筋肉の訓練が目的ですから、ご自宅でも毎日決められたトレーニングをする必要があります。正しい癖づけは一朝一夕とはいきません。毎日根気よく行って行くことで徐々に効果が現れ、最終的には無意識でバランスの取れた、正しい筋肉の使い方ができるようになります。
拡大矯正装置による小児矯正の症例
拡大矯正装置を用いた小児矯正治療の症例をご紹介します。
初診時の口腔内
歯並びの空隙がなく(すきっ歯ではない) このままでは永久歯に生え変わった際に綺麗に並ばない5歳男児です。
歯並び以外にも寝相が悪い、お口ポカンで口呼吸という問題があり 、それによって頻繁に風邪をひく、さらに口臭も気になる、落ち着きがない、食べるのが遅いなどの症状が見られたため、急速拡大装置にて矯正治療を行なう計画を立てました。
(※急速拡大のデメリットは骨ごと拡大するので顔も数ミリ広がると言われています。ただし成長にてほぼ分かりません。)
レントゲン診断
検査の結果、1級叢生(骨格の大きな不調和はない)と診断。パノラマ写真からこのままでは将来的に永久歯が生え揃うスペースがないことも確認できました。
拡大装置の装着
上下の歯に、拡大装置を取り付けて少しずつ顎を拡大していきます。
矯正治療開始から6ヵ月後
拡大装置を装着してから月一回、経過、調整を実施。半年後、上の装置を除去しました。拡大を行なってから、風邪をひいたり、お口ポカンが極端に少なくなり、口臭も改善されました。スペースも少し確保されています。前歯が生え変わってから、改めて矯正を再開し、さらに拡大をしていきます。
顎骨の拡大の経過
一時、夜驚なども頻発。装置を外してから学校でよくトラブルを起こして、よく怒るようになっていましたが、拡大装置(FAN)と上顎前方牽引装置(MPA)を入れるようになってからトラブルが少なくなったとのことです。
骨の成長の比較
年齢・性別 | 5歳 男児 (※初診時) |
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治療期間 | 2年 |
治療回数 | 10回 |
治療費 | 精密検査/診断費 10,000円(税込) 小児矯正 600,000円(税込) |
リスク・注意点 | ・歯の移動に伴い、鈍痛を感じる場合があります。 ・治療状況によって治療期間が変動する可能性があります。 |
小児矯正で歯並び・噛み合わせを改善した症例
歯並びが気になるとのことで小児矯正を行ないました。初診時は歯並びの状態から右側に寄った噛み合わせとなっていました。急速拡大装置(ハイラックス)で拡大後、→ 拡大装置(FAN)、トランスパラタルアーチ(TPA)で拡大を行いました。
治療途中ですが、レントゲン写真から並ぶスペースを確保することができました。正中も上下で揃い、正面からのセファロも真っ直ぐに揃いました。おそらく矯正をしていなかったら顎変形症となっていたと思います。
最終的な調整を行い、歯並び、咬合、顔貌を改善することができました。
年齢・性別 | 9歳 男児 (※初診時) |
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治療期間 | 1年半 |
治療回数 | 15回 |
治療費 | 精密検査/診断費 10,000円(税込) 小児矯正 600,000円(税込) |
リスク・注意点 | ・歯列が後戻りする可能性があります ・歯の移動の際に鈍痛を感じる場合があります |
小児矯正治療で歯並びを改善した症例
歯並びが気になるとのことで来院された9歳の男の子です。小児矯正で歯並びを改善する計画を立てました。まずが永久歯が綺麗に並ぶように上下の顎骨を拡げていきます。
小児矯正の途中経過です。右上の3番がかなり出てきましたが、歯が綺麗に並ぶスペースは全くありありません。
まだ治療中ではありますが、右上3番も並んでスペースもできています。大人になってからの矯正であれば確実に歯を4本抜いて矯正となっていました。また、顎骨全体が拡がることで舌を置くスペースもでき、歯を動かすだけでは改善できなかったいびきやお口ポカン、目の下のクマなどの改善にも繋がっています。
急速拡大装置(ハイラックス)→ FA拡大装置(FAN)→取り外し式床矯正装置(FKO)を行い、ここまで整ってきました。下顎はまだ叢生があります。
さらに最終的な調整を行い、下顎の叢生も改善されたところで治療完了となりました。
治療前後の比較
【治療前】
【治療後】
年齢・性別 | 9歳 男子 (※初診時) |
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治療期間 | 2年 |
治療回数 | 30回 |
治療費 | 精密検査/診断費 10,000円(税込) 小児矯正 600,000円(税込) |
リスク・注意点 | ・顔貌が少し変化することがある |
お子様の歯並び・小児矯正治療に関するQ&A
矯正治療中に痛みはありますか?
矯正装置をつけると、歯を動かすための強制力が働くため、2~3日は歯が痛くなることがあります。ですが、それも特定のタイミングで現れるもので、ずっと痛いわけではありません。噛んだ時に現れるような、一時的な痛みが多く、装置をつけてから最初の数日が一番痛むという人がほとんどです。その後治療が進む際にワイヤーを調整した後、半日から1日程度痛む場合が多いものの、最初ほどの痛みではないことが一般的です。
矯正中に虫歯になりませんか?
実際、矯正装置を着けると歯をみがきにくくなるデメリットはあります。それでも、しっかり磨いていれば虫歯になることはありません。当院では、装置を新しく着ける際のブラッシング指導や、来院時にはクリーニングを行い、みがき方が不十分な場合は適宜ブラッシング指導も行っています。
通院はどのくらいの頻度でしょうか?
治療の進み具合や、どの段階かによって多少異なります。装置を使用して歯を動かしている時は、1~2ヶ月に1回程度来院いただきます。歯の生え替わりを観察している場合や、成長観察の時期は3~6ヶ月に1回程度の通院で十分です。
小児矯正の治療は何歳ごろからした方がよいでしょうか。
歯並びにどんな問題があるかと、その重症度によって治療開始時期は大きく変わります。受け口や顎の左右への偏位では、3歳頃の早期から治療をした方がいい場合もあります。小児矯正治療は5~7歳頃に一期治療を開始することが一般的です。ただし、骨格的な問題がない場合や、永久歯の抜歯が必要な場合は、10~12歳頃、永久歯が生えそろう時期に治療を開始します。このように治療の開始時期は個人差が大きいため、一度来院いただき、診断してからご提案させていただくことになります。
子どもが小さくても小児矯正の装置をうまく使えますか?
小児矯正用の取り外し式の装置は、90年以上も前からヨーロッパなどで子ども向けの矯正器具として使われてきました。また、大人の矯正のような痛みを感じることはほとんどありません。着けはじめは話しにくさなどの違和感がありますが、お子様の年齢を考慮して治療装置を決めるため、たいていのお子様は上手に使っていただけます。ただし、どの治療でも言えることですが、痛みや違和感の感じ方には大きく個人差があることをご承知置きください。
治療後の後戻りが心配です。
小児矯正に限らず、大人の矯正でも後戻りの危険性はゼロではありません。後戻りの危険性は不正咬合の種類により変わりますが、一般に一期治療で行う顎の骨の矯正は、より早期に始めた方が後戻りのリスクは少ないと言われています。後戻りを確認するためにも、治療後は定期的なチェックをしましょう。
不正咬合が自然治癒することはないのでしょうか。
可能性としては自然治癒もあります。乳歯の歯並びや前歯の永久歯への生え変わり時期で空いている隙間などは、歯の生え替わりが進むにつれて自然に治ることが多くあります。一方で、受け口や顎の骨が狭いために歯がきちんと並ばない場合は、ほとんど自然治癒が見込めません。放置すると重症化・複雑化してしまうことがあります。
吹田市千里山にて小児矯正治療をご希望の方へ
いぬい歯科クリニックでは、成長過程にあるお子様の将来を見据えた小児矯正治療を実施しております。お子様の年齢や歯並び、ご希望を考慮し、一人ひとりに適した治療計画をご提案いたします。吹田市千里山にて小児矯正治療をご希望の方はぜひ、当院までお気軽ご相談ください。