ブリッジで後悔する前に。インプラントとの5つの違いを歯科医が本音で解説
投稿日:2025年5月15日
カテゴリ:院長ブログ
こんにちは いぬい歯科クリニック 院長の乾です。
本日は改めてインプラントとブリッジの違いについて解説していきたいと思います。
歯を失ったとき、最初に提案される治療法として「ブリッジ」は今もなお多くの患者さんが選択する方法です。 実際、厚生労働省の調査(令和4年歯科疾患実態調査)では、ブリッジを使用している方は全体の約33%と、部分入れ歯やインプラントよりも多い結果が出ています。
それほど身近な治療である一方、「知らなかった」「もっとよく調べておけばよかった」と、後から後悔されるケースも少なくありません。 なぜなら、ブリッジは健康な歯を削る必要があり、インプラントとは根本的に仕組みも目的も違うからです。
今回は、ブリッジとインプラントの本当の違いを、歯科医の立場から“本音”で解説します。 治療法を選ぶ前に、ぜひ知っておいてほしい5つのポイントをお伝えします。
目次
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1、そもそもブリッジとインプラントの仕組みの違い
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2、健康な歯を守れるかどうか
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3、見た目の自然さ(審美性)の違い
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4、費用と寿命、どちらが本当にお得?
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5、後悔しないために大事なのは“将来”の視点
1. そもそもブリッジとインプラントの仕組みの違い
ブリッジは、歯を失った部分の両隣の歯を削って支えにし、その上に橋のように人工の歯をかぶせる治療法です。 支台となる歯に負担がかかる代わりに、比較的短期間で治療が終わるのが特徴です。
一方、インプラントは歯の根っこから人工的に再建する治療。 チタン製の人工歯根を顎の骨に埋め込み、その上にセラミックなどで作られた人工歯を装着します。 周囲の歯にまったく負担をかけないのが大きな特徴です。
2. 健康な歯を守れるかどうか
この点は、患者さんが治療後に後悔するポイントの一つです。
ブリッジ治療では、健康な両隣の歯を大きく削る必要があります。 その結果、削った歯の寿命が短くなったり、将来的に根の治療や抜歯が必要になるリスクが高まります。
実際、過去の臨床経験でも、ブリッジを入れた方の多くが、10年以内に支台歯に問題を抱えて再治療になるケースを多く見てきました。 それに対し、削らずに放置して定期的にメンテナンスを行っていた患者さんのほうが、周囲の歯の寿命を保てたという例もあります。
当院では、こうした健康な歯を守る観点から、もし保険診療での対応が必要な場合には、次のような優先順位で治療法をご案内しています:
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第一選択:削らないワイヤークラスプの入れ歯
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第二選択:削らずに経過観察(状況が安定していれば)
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第三選択:やむを得ずブリッジ治療
もちろん、もっともおすすめできるのは「削らず・自立して長持ちする」インプラント治療です。 患者さんの将来のリスクを考慮しながら、最適な選択肢をご提案しています。
3. 見た目の自然さ(審美性)の違い
ブリッジは保険診療の場合、銀歯など金属色が目立ちやすい素材しか選べないこともあります。 前歯の場合、笑ったときに金属のフレームが透けるケースもあり、審美性に限界があります。
一方、インプラント治療では、セラミックなどの自然な質感・色調の人工歯が使用されるため、周囲の歯と違和感なく馴染みます。 前歯の治療では特にインプラントのメリットが発揮されやすいです。
4. 費用と寿命、どちらが本当にお得?
ブリッジは保険適用で3割負担になることが多く、治療費が比較的安く済みます。 一方で、平均寿命は約7〜8年とされており、その後の再治療や支台歯のダメージを考慮すると、長期的にはコストがかかることも。
インプラントは自費診療で初期費用が高いですが、10年以上の長期安定性が見込め、メンテナンス次第では20年〜25年以上機能し続けるケースもあります。 実際に、近年の研究ではインプラントの約80%が25年以上の残存率を示しているというデータも報告されています。
費用面は「初期費用の安さ」だけでなく、「何年もつか・将来の再治療費をどう見るか」も大切な視点です。
5. 後悔しないために大事なのは“将来”の視点
どちらの治療法も一長一短がありますが、 「今」だけでなく「5年後、10年後」を想像することで、選び方は変わってきます。
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将来、治療を繰り返したくない
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健康な歯はできるだけ長く保ちたい
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若いうちに治して、ずっと自分の歯のように使いたい
こうした思いがある方には、インプラント治療の方が後悔が少ないかもしれません。
事実、健康の後悔トップ20の1位に歯がきています!
2012年プレジデントより https://president.jp/articles/-/12332
当院では、保険診療の範囲内であっても「なるべく削らず、周囲の歯を守る」という方針を第一に考えています。 そのうえで、自由診療のインプラントは、最も歯に優しく、機能的にも審美的にも優れた治療法としてご提案しています。
まとめ
今回は、ブリッジとインプラントの決定的な違いについて解説しました。
比較項目 | ブリッジ | インプラント |
---|---|---|
支えとなる歯 | 両隣の天然歯を削る | インプラント体(顎の骨に埋入) |
健康な歯への影響 | 削る必要があり、将来的な負担増 | 削らずに済み、他の歯に影響を与えない |
見た目(審美性) | 金属色が見える場合あり | セラミックで自然な見た目 |
治療費用 | 保険適用で比較的安価 | 自費診療で費用は高め |
寿命・長期安定性 | 約7〜8年、支台歯の再治療リスクあり | 10年〜25年以上、長期安定が期待可 |
治療法の選択は、見た目や費用だけでなく「将来のトラブル回避」や「周囲の歯の健康維持」にも関わってきます。 ぜひ、ご自身の口の中の状態やライフスタイルを踏まえて、納得のいく選択をしていきましょう。
次回は、「歯が1本だけ抜けた場合、ブリッジ・インプラント・入れ歯のどれがいいのか?」について詳しくご紹介します!
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