歯を抜くべき?抜歯の判断基準と“本当に抜くべき歯”とは?
投稿日:2025年6月11日
カテゴリ:院長ブログ
こんにちは いぬい歯科クリニック 院長の乾です。
「歯をできる限り抜きたくない」――そう思って来院される方はとても多くいらっしゃいます。
そして私たち歯科医師も、**“残せる歯はできるだけ残したい”**と考えています。
しかし、歯の状態や診断の方法によっては、「抜歯が必要です」と言われてしまうこともあるでしょう。
そんなとき、**“本当に抜かなければいけないの?”**と悩むのは当然です。
この記事では、「歯を抜くべきか?」というテーマについて、
当院の視点から客観的かつ現実的な判断基準をお伝えします。
【1. 抜歯を検討すべき5つのケース】
以下のような状態では、歯を残すよりも抜歯を優先すべき場合があります:
① 歯根が割れている(歯根破折)
→ 破折した部分から感染が広がるため、基本的に保存は困難です。
② 虫歯が歯ぐきの下まで進行している(重度う蝕)
→ 被せ物の土台を作ることができず、予後が不良になります。
③ 歯周病が進行し、歯がグラグラしている
→ 骨の支えを失っており、噛む力に耐えられない場合は抜歯となります。
④ 根の先に膿の袋がある(根尖病変)
→ 再発を繰り返すケースでは、周囲の骨への影響を避けるため抜歯が必要になることも。
⑤ 矯正治療・親知らず・異所萌出などで、他の歯に悪影響がある歯
→ 必要に応じて、治療計画に沿って抜歯が検討されます。
【2. 実は“残せた歯”だったというケースも多い】
ここでひとつ、私たちのクリニックでよくあるエピソードをご紹介します。
ある日、「他院で抜歯だと言われた」という患者さんが来院されました。
診査の結果、歯根は破折しておらず、感染も局所的。
マイクロスコープ下での根管治療を丁寧に行えば、十分に保存可能な状態でした。
実際、このように「抜歯と言われたけど、保存できた」というケースは少なくありません。
保険診療の範囲内でも、マイクロスコープやCTを活用した正確な診断・治療を行えば、
多くの歯が救えるのです。
【3. “抜かずに残す”が必ずしも正解とは限らない】
一方で、歯を残せる状態であっても、抜歯した方が良いという判断になることもあります。
✅ 例えばこんなケースでは、あえて抜歯を選ぶことがあります:
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70代でインプラントを計画している方
→ インプラント隣接歯が明らかに10年持たない場合は、
早期に抜歯して再設計することで安定性が高まることも。 -
部分矯正に何年もかかるようなケース
→ 短期間でQOLを上げたい場合、抜歯+補綴の方が満足度が高いこともあります。
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歯根が短く、今後の被せ物の土台として不安な歯
→ 抜歯してインプラントなどで長期的な安定を得る選択肢もあります。
こうした判断は、患者さんの年齢・予後の見通し・治療のゴール設定によって変わります。
【4. 当院での判断基準と診査方法】
当院では、次のような流れで抜歯の可否を判断します:
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CT撮影で骨や歯根の立体的な状態を把握
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マイクロスコープで破折や感染の詳細を確認
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咬合診断により、噛み合わせ全体とのバランスを評価
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治療ゴール(機能・見た目・寿命)からの逆算で最適な選択を提案
保存の可能性が少しでもある場合は、まず「残す治療」をご提案します。
一方で、将来的なトラブルや全体設計を見据えて「抜くべき」と判断することもあります。
【まとめ】
歯を抜くかどうかの判断は、非常に繊細かつ高度な判断が求められます。
「抜かない」ことがすべて正しいわけではなく、
「将来も含めてベストな選択」を一緒に考えていくことが大切です。
👉 他院で「抜歯と言われたけど…」と悩んでいる方も、ぜひ一度ご相談ください。
保存治療の可能性から、抜歯後の治療設計まで、丁寧にご説明します。
📍いぬい歯科クリニック
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